最新の経済動向と
未来の社会を念頭に
独禁法と向き合う
執行パートナー
川島 佑介(58期)
2004年東京大学法学部卒。 2013年~2015年にかけて、公正取引委員会事務総局審査局にて審査専門官(主査)として勤務。
2015年には客員研究員としてハーバード・ロースクールへ。
2018年より、日本経済新聞主催の「企業が選ぶ弁護士ランキング」に定期的に選ばれている。
競争法分野を柱とし、同分野で国際競争ネットワーク(International Competition Network(ICN))などの各種活動に参加している。
毎日15000歩以上歩くよう心がけている。
エキスパート・アドバイザー(元・公正取引委員会委員)
山本 和史
1978年東京大学法学部卒。同年公正取引委員会事務局へ入局。45年間公正取引委員会に勤務し、事務総長、委員を務め、2023年にエキスパートアドバイザーとしてY&Pへ入所。
競争法分野を専門として、案件の解決に必要なサポートを行っている。
休日に妻と美味しいものを食べに行くのが楽しみのひとつ。
45年間、公正取引員会で
独占禁止法に携わる仕事を経て入所
川島:山本先生は、1978年に公正取引委員会に入局され、2023年4月に公正取引委員会の委員を退任された後、同年6月からY&Pに入所されました。ちょうど私が2013年から2015年にかけて公正取引委員会に任期付公務員として勤務していたときは、事務総長や委員でいらっしゃって、そのときから折に触れご指導いただいておりました。山本先生がY&Pに入所された際の経緯を教えてください。
山本:私は1978年に公正取引委員会へ入局し、企業結合課長、審査局長、事務総長を経て、2014年からは公正取引委員会の委員を務め、合計45年間一貫して独占禁止法に携わる仕事をしてきました。そのため、退任後も、これまでの行政実務の経験、独占禁止法に関する知見を活かした仕事をできればと思っていました。そのようなところ、独占禁止法に関する案件で多くの実績があるY&Pからお話をいただき、私の思いを実現できる事務所ではないかと考えました。 公正取引委員会は、他の省庁と比べると1000人に満たない所帯ですが、お互いの顔が見え、風通しの良い組織でした。入所する前にY&Pを訪問した時にも同じ風景を感じ、この環境で働くことができればと思った次第です。
川島:入所を決められる前の見学で、そういった印象を持っていただき大変嬉しく思います。実際に入所されてみて、ご印象はいかがでしたか。
山本:期待していたとおりに風通しの良い職場だと感じました。 弁護士の皆さんは、お互いの考えを述べ合い、議論をしながら答えを出そうとされていますし、弁護士を支える秘書の皆さんも、担当の弁護士と一体感を持ちながら業務に取り組んでいます。 また、定期的に「お茶会」と呼ばれる、弁護士や秘書の皆さんが全員で顔を合わせる機会があり、事務所のメンバー全員で交流することができます。こういった全員が集まる機会を設けることが、事務所全体がひとつのまとまりとなることに役立っていると感じています。余談ですが、事務所から銀座や丸の内が近く、名店が多いこともあって、毎回のお茶会に出されるお菓子が楽しみのひとつでもあります(笑)。
M&Aや業務提携などを含め、
独占禁止法の観点からの検討が
必要な国内外の案件に幅広く関わる
川島:Y&Pで現在担当されている業務について教えてください。
山本: 企業からのM&Aや業務提携、取引先との取り決めといったご相談を含め、幅広く、独占禁止法の観点からの検討が必要になる案件に関与させていただいています。Y&Pのクライアントの多くは国内にとどまらず、グローバルに事業を展開しているので、海外の競争法に関連する案件も多いという印象です。 私は弁護士資格を持っていないので、弁護士法に抵触しない範囲ですが、これまでの独占禁止法の実務経験を踏まえて、案件の検討を進める上で役に立つと思うことを国内のみならず海外の話も含めてアドバイスするようにしています。
川島:私たちも、山本先生と案件をご一緒させていただく中で、これまでの行政実務のご経験や、国内のみならず海外の競争法に関するご知見を踏まえ、大変有益なアドバイスを日々いただいています。 山本先生は、長年にわたり公正取引委員会という、いわば「行政」という法の執行側から独占禁止法の業務に携わってこられたわけですが、Y&Pではクライアント側から案件の解決にご尽力いただいています。 法の執行側から見た景色と、クライアント側から見た景色には違いがあるものでしょうか。
山本:確かにそれぞれの違いはありますが、独占禁止法の役割を大切にするという意味では同じではないかと思っています。 独占禁止法は、企業が切磋琢磨して、ライバルより少しでも良い製品、新しい製品を世の中に送り出すように頑張ってもらうことを目指している法律です。そして、企業の日々の頑張りのおかげで、経済が発展して、消費者も多様な選択肢の中から自分の欲しいものを選ぶことができます。独占禁止法というとカルテルや談合を取り締まる法律というイメージが強いと思いますが、頑張る企業を応援するというのが独占禁止法の役割です。 公正取引委員会にいたときにも、企業の方からは、M&Aや業務提携、取引先との取り決め等の相談を受けることも多くありました。そして、今は、クライアント側にいるわけですが、どちらの側にいても、見ている景色、若しくは、検討に当たって見なければいけない景色は同じだと思います。大事なのは、望遠鏡や顕微鏡も使いながら、業界の実態やクライアントのマーケットにおける位置付けといった、実態をよく見て、独占禁止法上の問題の有無、解決策を検討することだと思います。
最先端の経済の動向を見極めながら
問題を考えていくことが醍醐味
川島:事務所の方針として、案件には必ず若手弁護士をチームに入れ、案件の全体像をつかみ、案件を解決する力を身につけることができるようにしています。 若手弁護士と案件を共にされてのご印象や、若手弁護士を指導される際に留意されていることがあれば、教えていただきたいです。
山本:Y&Pには、若手の弁護士の先生方も多くいますが、皆さんの仕事ぶりを見ていると、案件ごとに、検討が必要な問題点を自分の頭できちんと考え、忙しいにもかかわらず、「深度のある」検討を進めていることに感心しています。 指導というほどのことはできませんが、「実態をよく見るように」という観点からアドバイスすることを心がけています。
川島:独占禁止法は、司法試験の必須受験科目になっていないこともあり、受験生や若手の弁護士の方々にとって、身近ではない側面もあるかなと思っています。私自身、Y&Pに入所した当時は、独占禁止法の知見はほとんどなかったのですが、Y&Pに入って様々な案件を担当していく中で、独占禁止法分野に興味を持ったという経緯があります。 山本先生は、45年以上にわたり独占禁止法分野で様々な事件に携わってこられたと思いますが、山本先生にとって、独占禁止法の魅力といいますか、面白いと思う点はどのような点でしょうか。
山本: 独占禁止法においては、日々変わっていく経済をよく見て、世の中がどう変わっていくかを踏まえて、企業の活動に問題があるかどうかを検討しています。つまり、常に最先端の経済の動きをフォローしていかないと正しい判断ができません。日本だけでなく海外の経済がどう動いているか、今でいえば、デジタル経済やグリーン社会というのがキーワードになると思いますが、そういった経済が日々どういう方向に動いていくかをよく見極めながら、問題を考えていくことが面白いと思います。
川島: 最後に、このウェブサイトをご覧になっている方(求職者)へのメッセージをお願いします。
山本:このウェブサイトをご覧になっている皆さんは、これから法曹の世界に進んで、「世の中を少しでも良いものにしたい」という思いでいらっしゃることと思います。 自分が目指しているものは何かをよく見つめて、それに向かって進んでいってください。そして、このウェブサイトをご覧になって、もし皆さんの心に何か残るものがありましたら、それが何か、当事務所を訪問して確かめていただければと思います。