家庭も留学も
仕事のクオリティも
全て諦めない

パートナー

中村 比呂恵(53期)

1999年慶應義塾大学法学部卒。 2008年にハーバード・ロースクールLL.M.課程を修了し、米国ニューヨーク州弁護士登録。国内大手食品メーカーへ出向経験あり。二度の育児休業と海外居住から帰国後、Y&Pへ復帰。 コーポレート分野、国際取引分野を柱としており、近時はベンチャー投資分野にも取り組んでいる。 読書、旅行が趣味である。

ハーバードへの留学、
産休・育休を挟んで、Y&Pに復帰

ー中村先生は2004年にY&Pへ入所し、2007年秋からハーバード・ロースクールに留学されています。その後、大手メーカーへの出向や産休・育休を二度取得されていました。

振り返ると、Y&P入所後は、留学、出向、産休・育休といろいろなことがありました。仕事と家庭をどのように両立していくかは、今も私にとって大きなテーマですが、性別問わず、弁護士としてのキャリアを考える上では、大きなテーマであろうと思います。今後の弁護士としてのキャリア形成を考えられている方に少しでもご参考になればと思います。

中村 比呂恵

ー2010年7月末~2012年3月末(1年8か月)、産休・育休を取得されましたが、産休・育休取得の経緯を教えてください。

2010年当時は、業界としても、弁護士の産休・育休について決まった制度がある事務所はほぼありませんでした。不安もありましたが、育児に専念したいという思いもあり、事務所に相談したところ、快く産休・育休を取得させていただけました。

ー産休・育休を終え、2012年4月から事務所に復帰されましたが、復帰後は育児と仕事とはどのように両立されていたのですか?

今でこそ、コロナ禍を機にリモートワークが広まりましたが、当時は守秘義務の観点からオンラインでの業務も制限されていましたので、今から振り返っても育児と仕事との両立は大変でした。事務所や家族などのサポートを得て、何とか両立していました。
Y&Pには、出張を要する案件や緊急を要する案件は配てんしないようにしていただく等、案件を一緒に担当するチームに迷惑をかけたくないという私の思いも汲みつつ、両立しやすいようにしていただいていました。当時も今もそうですが、Y&Pのそのような配慮があって、大変ながらも何とか両立できたのだと思っています。

ー当時、育児と仕事にどのように時間を振り分けていましたか?

朝は子供を送ってから9時半か10時くらいに出勤していました。帰りは17時頃までに帰宅できる日もあれば、案件の関係でどうしても20時や21時になってしまう日もあり、ベビーシッターや夫婦双方の両親にもサポートしてもらっていましたね。弁護士という仕事柄、帰る時間が読めず、急な対応が必要になるときもありますが、そうしたときはやっぱり大変でした。

ー2015年9月に一旦弁護士登録を抹消し、2018年にY&Pに復帰した際の経緯について教えてください。

2015年当時は、いつ夫が海外へ転勤になるか分からない状態が続いていたので、事務所にお願いし、配てんする案件をセーブしていただいていました。2015年夏ごろ、正式にオーストラリアへの海外転勤が決まり、9月に出国しました。そのタイミングで一旦Y&Pを離れ、2017年1月に帰国し、2月に第2子を出産しました。その子供が1歳8か月になり、保育園が確保できたタイミングで仕事への復帰を決めました。
もっと早くから保育園に預けて仕事復帰する方もいますが、自分の体力のことも考えると、このタイミングがベストだと思いました。

ー仕事への復帰はご自身の希望があったということだったのですね。

そうですね。仕事を通じて自己実現をはかりたいという思いはずっとあって、家族もそのことに理解を示してくれていましたので、仕事は続けたいなと思っていました。
事務所から、「戻ってみないか」とお声がけいただいたのも後押しになって、迷うことなくY&Pに復帰したいと思いました。

ー2018年にY&Pに復帰した後は、育児と仕事をどのように両立されていたのですか?

事務所には、リモートで業務ができる仕組みを作っていただけたので、仕事に充てる時間を柔軟に決められるようになり、とても働きやすくなりました。 リモートで業務できると、お迎えの時間や子供をお稽古ごとに送迎する時間を取ることができて、ありがたいですね。 子供が小さいうちは、在宅で仕事しているときも「構ってほしい!」となるので、その点は大変でした。事務所の先生と電話をしているときに泣きわめかれてしまうこともありましたね。ただ、他の先生方には、そういった状況も理解していただけていたので、大変ありがたかったです。

ーY&Pからのサポートという意味では、リモート業務の他、どのような点がありましたか?

これは育児サポートというわけではないですが、Y&Pでは案件は基本的に3人体制でチームを組むことが多いです。弁護士一人ひとりが責任者意識をもって案件に取り組み、案件全体を把握しているため、メンバーのひとりが事務所不在時でも、クライアントが担当弁護士と連絡が取れないといったことが起きないようになっています。そのような体制がベースにあるので、育児との両立はしやすいと思います。 サポートという意味で一番大きいのは、やはり事務所の皆さんのご理解が得られることでしょうか。きちんとした制度はあっても、実際は早退や休みが取りにくかったりする職場もまだまだ多いと思いますが、Y&Pではそのようなことはありません。所員全員の顔が見える環境だからこそ、弁護士や秘書の皆さんに理解があり、とても助けられていますし、感謝しています。 また、具体的な担当案件については、納期の比較的緩やかな案件を担当させていただいたり、出張に行かなくても大丈夫なように配慮していただいたりしています。

ー育児と仕事を両立しているからこその良さについて教えてください。

仕事面では、やはり仕事だけに邁進している方と全く同じというわけにはいかないのが正直なところです。ただ、クオリティは絶対に落としたくないと思って業務に取り組んでいます。
他方で、育児面では、家族から好評を得ています(笑)。私が、何事にも全力投球してしまうタイプなのもあって「仕事をもつことで、若干力が抜けるくらいがよい」と(笑)。子供の自立には、かえってそのほうが良いのかもしれませんね。また、育児を通じて社会全体への理解やさまざまな方への感謝の念が深まったと思います。

中村 比呂恵

一般的な欧米人の思考方法を
理解できるようになったことは
国際案件を進める上でも強みに

ー2007年秋にハーバード・ロースクールに留学することになった経緯について教えてください。

2007年当時、私がY&Pで働き始めて3年が経ち、国際案件も多く取り扱っていたため、今後の仕事のためにも留学した方が良いのではないかと思うようになりました。 そこで事務所に相談したところ、既に翌年に留学する弁護士は決まっていて、相談した時期も遅かったのですが、私もY&Pからの派遣という形でハーバード・ロースクールに留学させてもらえることになりました。

中村 比呂恵

ー留学先をハーバード・ロースクールに決められた理由は何だったのですか?

そもそも私が車を運転できないので都市部の学校を希望していました。 また、ファウンダー(※)からいつも話を伺っていたファウンダーの母校ということで、倣いたいという気持ちがあって出願しました。

※柳田幸男弁護士:1966年ハーバード・ロースクールLL.M.課程修了。1991年ハーバード・ロースクール客員教授。1993~2005年ハーバード大学視察委員(Visiting Overseers)。1997年~現在までハーバード・ロースクール運営諮問委員。

ー留学で得られたことはどんなことですか?

大量の英語の文献を読むこと、アカデミックなライティングの方法、一般的な欧米人の思考方法などを学ぶことができました。 実は、初めての一人暮らしがこの留学時でしたので、最初は生活にあたって何を準備する必要があるのかさえわからず大変でした。周りから「あの人は大丈夫?」と言われていたようです(笑)。そうした苦労も今振り返るといい思い出です。

ー留学での経験が活きていると感じられることはありますか?

やはり一般的な欧米人の思考方法を理解できるようになったことが大きいと思います。仕事のうち国際案件が占める割合は大きく、海外とのやり取りをする機会も多いのですが、彼らの思考方法が理解できていないと、例えばメール一通を送る場合でも先方が理解しにくいものになってしまいますよね。 ロースクールでアジア各国の会社関係・ビジネス関係の法制度の授業を受講したことが、事務所での仕事にも役に立っています。国際案件のうちアジア関係の業務もかなり多いですからね。 留学を検討されている方は、臆することなく、ぜひ進めてほしいなと思います。Y&Pでも留学先の選定や推薦状などいろいろサポートしてもらえると思います。

中村 比呂恵

カチッとした制度がないからこそ、
逆に、柔軟に働くことができる環境

ー最後に、このウェブサイトをご覧になっている方へのメッセージをお願いします。

私がY&Pに入所した時から変わらないのは、やはり期が上の弁護士がきちんと下の弁護士を指導しているという点だと思います。Y&Pは弁護士、秘書さんを含めて50名ほどの構成であり、全体的な人との繋がりがあって、温かみのある事務所です。 大企業のようにカチッとした制度があるというわけではないですが、逆にそこがY&Pのよいところかなと思います。全体的な人との繋がりがあるので、個々人の事情・要望に合わせて配慮していただけやすいと思います。育児・出産・介護等の事情が生じるであろう方でも安心して働けると思います。 私が弁護士になった頃から現在にかけて、性別問わず育児や家庭との両立がしやすい社会になっていっているのを実感していますし、もちろんY&Pもそうですが、この先もきっと働く環境はよりよくなっていくと思います。

中村 比呂恵